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御主人様の誕生日 ~心がさみしい~

この日は、妙に心がさみしい朝になってしまいました。
この5日前に、御主人様から凄く幸せな話を聞いていました。

「御主人様の誕生日の日なんですけど、仕事帰りに1分でもいいから、
逢いにいってもいいですか?」
「当日に顔を見ておめでとうございますが言いたいです」

「誕生日の日は休みを取った」

「休みですか・・・・・」
「じゃあ、逢えないですね」

「嫁には休みって言ってないから当日逢えると思うよ」

私はこの話を聞いて、御主人様が私のために、
誕生日当日に逢えるように、
休みを取ってくれたんだと思ってしまったのです。
そんなことは一言も言ってないのに。
でも、それは違ったのだと、この日の朝に気づいてしまったのです。



この日は、元々髪切りにひっつき虫する約束でした。
予約の時間は17時。
でも、私は昼前から逢えるつもりでいました。
たくさんは逢えなくなったんだから、逢える日はできるだけ長く居たい。
その想いが、勝手に期待だけを膨らませてしまっていたのです。

御主人様と待ち合わせの時間について話をしてるとき、
15時くらいに迎えに来るように言われて、落ち込んでしまいました。

「俺だって家のことでやることたくさんあるんだよ」

そう言われて、とてもショックを受けてしまったのです。
私の頭の中は御主人様でいっぱいで、御主人様ばっかり。
でも、御主人様はそうじゃない。
家族がいて、家の用事もあって。

私は午前中にあった用事をどかして、夜のバイトも入れないようにしてました。
丸1日あけたのがバカみたい・・・・。

「考えておいてやる」

そう言われたけど、それは望むことじゃないから。
最初から私に逢うための時間ならば嬉しいけど、
用事があるのにそれを邪魔してまで一緒に居たいわけではないから。

心がさみしい1


そしてその日の夕方。
明日の最終確認の話を電話でしました。

「明日はこの間しなかった誕生日のお祝いするんだろ?」

「え@@?」
「明日するんですか?」
「誕生日当日じゃなくて?」

「当日は逢えるか分からないから」

「・・・・・・・・・・」
「奥さんに休みって言ってないって言ってたから、
私は逢えるものだと思ってました・・・・・・」

「まだ分からんよ」


御主人様が考えていることが正直分からない。
どういうこと?
奥さんに休みって言ってないって言ったのに、私とは逢えないってこと?
私と逢えるように休みを取ってくれたと思っていた。
誕生日当日私に逢いたいんだと思ってくれてるって思っていた。
なんという勘違い。
なんておこがましいの私。

そうだよね。
誕生日の日は家族でお祝いするのが普通。
自分の家で家族で食卓を囲んでケーキを食べて。
その時間を過ごすべきは私ではない。

わたしは・・・・・・。
一体なに?
この世で1番愛する人の誕生日に逢えるかどうかも分からない。
誕生日当日になった瞬間、「隣」でおめでとうが言えるわけでもなく、
電話ができるわけでもなく。
気持ちを込めた手書きのバースデーカードを贈れるわけでもなく。

普通の恋人同士ができることができない。
でも考えたら当たり前。
だって不倫なんだから。
そう、これが現実。

それに以前、御主人様はこう言いました。
「そんな簡単に離婚できるわけないだろ!」
「嫁は別に何にも悪いところはないと思うよ」と。

離婚できる理由はなくとも、できない理由はいくらでもありそうです。



御主人様が待ち合わせの時間を11時に変えてくれました。
でもこれは私が無理に頼んで変えてもらったから。
朝、グズグズ言ってなかったら、きっと15時だった。
11時の待ち合わせと聞いても、心から喜べませんでした。

前回誕生日プレゼントを買いに行って注文していた商品が、
私の家に届いていたので、この日に持っていく約束でした。

心がさみしい2
心がさみしい3


あの9月の喧嘩以来、私の中で大きく大きく膨らんでいる負の感情。

「家族なんだから大切に決まってる」

聞きたくなかった。
たとえそれが事実だとしても。
いや、事実だからこそ、御主人様の口から聞きたくなかった。

あの日からこの台詞が頭から離れる日はありません。

そして、あの喧嘩中に思ったこと。
「そんなに大切な家族ならば、家族とずっと居てください」

あの時の気持ち、そして私が選ばれない覚悟は、あの日のままなのです。
決して私の中で変わることもなく無くなることもなく。
あの日からずっと私の中に生き続けて大きくなるこの感情。


「別れたい」ではないです。
死ぬほど愛してるんだから。
別れたいわけがありません。


どっちを選ぶかを決めるのは御主人様ということも理解しています。
ただ、自分が選ばれない覚悟はあの日からずっとできているということです。
あの日からというより、それよりもずっと前からあったものが、
どんどん大きくなっているといったほうが正しいかもしれません。
御主人様が家族を選んでも、決して責めないし、恨まない。


私は別れを選べるほどに愛しているのです。
御主人様が「家族」か「奴隷」か、その選択に苦しむくらいなら、
私は家族を取るべきだと、あの台詞を聞いて以来強く思っています。

それに、私を選んでくれたとしても、きっと家族を忘れることはない。
心のどこかで、家族といたら今頃は・・・・って考えるかもしれない。
御主人様はとっても愛情深い人だから。
きっと家族のことを忘れることはない。
私はそんな家族に怯える生活は耐えられない。


すべては御主人様への独占欲にまみれた私の歪んだ愛ゆえ。
どうしたらいいの?
どうしたら私は幸せになれるの?
私は人の家族を不幸にしてまで御主人様を手に入れて幸せって思えるの?

私は・・・・・
誰も傷つけたくないし、これ以上自分の心も傷つけたくない。
ただ愛しているだけなのに。


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Author:生涯奴隷
御主人様の専属生涯奴隷になることが私の生きる道。私が唯一輝ける場所。それは御主人様の足元。

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